「DX認定制度って何のこと?」「そもそもDXって何?」と気になっていませんか。

DX認定制度とは、DXの優良な取り組みを行う企業やDX推進の準備が整っている企業を国が認定する制度のことです。

データとデジタル技術を使って新しくビジネスを立ち上げたり既存ビジネスに革命を起こしたりすることをDXと言います。

本記事では、DX認定制度の概要や取得するメリット、取得のプロセスについて詳しく解説します。

目次

  1. DX認定制度とは
  2. DX認定制度が設置された背景
  3. DX認定制度のメリット
    1. DX推進企業としての社会的認知が見込める
    2. 税制優遇を受けることができる
    3. 自社のDX実現に必要な情報や論点を整理できる
  4. DX認定制度取得のプロセス
    1. 社内における準備事項
    2. DX認定制度の申請方法
  5. 申請に必要となる内容
  6. 認定を受けるためのDX推進の例
    1. デジタル技術を活用した新規事業
    2. ITツール導入による業務効率化
  7. まとめ

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DX認定制度とは

DX認定制度とは、2020年5月に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」に基づく認定制度です。

国が定めた指針にもとづいて、DXの優良な取り組みを行う企業やDX推進の準備が整っている企業を国が認定することで、企業や経営者のDXに対する意識改革をうながすことが目的となっています。

そもそもDXとは、データとデジタル技術を使って新しくビジネスを立ち上げたり既存ビジネスに革命を起こしたりすることです。

経済産業省では、DXを以下のように定義しています。

“ 企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること “

引用: DX認定制度の概要及び申請のポイントについて|経済産業省

経済産業省の「DX認定制度 申請要項(申請のガイダンス)」によると、DX認定(法認定)のレベル感を4段階に分類しています。

  • DX-Excellent企業
  • DX-Emerging企業
  • DX-Ready
  • DX-Ready以前

DX認定では、その中で「DX-Ready」の状態の事業者を認定します。

さらにDX認定事業者を超えるレベルにある事業者を「DX-Excellent企業」「DX-Emerging企業」として選定しています。

DX認定制度が設置された背景

経済産業省は2018年、国内企業のDXに関する報告書「 DXレポート 」を発表しました。

その中で企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しなかった場合に2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が出る可能性があるという「2025年の崖問題」などの内容が含まれています。

日々進化するIT技術を取り入れてビジネスモデルを確立していくことは、競争の激しいマーケットで生き残るために必須であると言えるでしょう。

しかし、DXに向けて取り組んでいる企業はごくわずかです。

そこで、政府は企業のDXを後押しするためにDX制度を設けたという背景があります。

DX認定制度のメリット

DXの認定企業になると、3つのメリットが得られます。

DX推進企業としての社会的認知が見込める

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のウェブサイトにある「認定事業者一覧」にて企業一覧が公表されるので取引先や顧客に対してDX推進企業であるとアピールできます。

また、DX認定制度のロゴマークを使用することができ、コーポレートサイトや従業員の名刺などに掲載することで対外的にアピールがしやすくなります。

また、DX制度はDX銘柄制度と関連しています。

経済産業省と東京証券取引所が実施している「DX銘柄2022」の応募条件にDX認定があり、DX推進企業として認定された上場企業は「DX銘柄」や「DX注目企業」に選ばれることもあります。その場合、社会からさらなる評価や信用を得ることができるでしょう。

税制優遇を受けることができる

DX認定を受けた企業は、税制優遇を受けることができます。

2つの税制優遇について詳しく確認しましょう。

DX投資促進税制を活用できる

DX投資促進税制とは、2021年8月2日から施行されているDXのために投資した費用に関する税制優遇制度です。

2023年3月31日までにDX認定を受け、DXのための設備投資を始める必要があります。

具体的には、DXのために必要な特定ソフトウェアや特定ソフトウェアを使うために必要な装置や器具、備品などが対象です。

投資した設備の額に対して、3%あるいは5%控除、または30%の特別償却ができます。

対象事業者は青色申告書を提出する認定事業適応事業者に限られており、設備で生じた費用の支払いや設備の減価償却の記録を残さなければなりません。

金額が大きいため、積極的に活用したい税制度と言えるでしょう。

中小企業は低利率で融資を受けられる

DX認定を受けた中小企業は、設備投資などに必要な資金の融資を通常よりも低金利で受けられます。

ただし、日本政策金融公庫からの融資に限られるため注意しましょう。

民間金融機関から融資を受ける場合は、信用保証協会による信用保証において追加保証や保証枠の拡大が受けられるといった優遇が受けられます。

自社のDX実現に必要な情報や論点を整理できる

DX認定制度を受ける過程で多くのメリットがあります。

DX認定を受けるには、事業の状況やマーケットにおける企業の立ち位置などを把握し、経営ビジョンを達成するためのビジネスモデルの方針を決定しなければなりません。

DX実現をどのように実施するのか、そのための課題は何かを議論して企業全体の情報や論点を整理することができます。

そのため、企業が目指す方向性や課題を企業として共有するきっかけとなるでしょう。

手当たり次第に業務やサービスをIT化するのではなく、実現したいビジネスモデルのための道具としてITを使わなければなりません。

DX認定制度を受けるためのプロセスにおいて、実現すればどのように売上・収益が変わるのかまでを想定しながら課題を洗い出し、やるべきことを明確化できることは大きなメリットです。

DX認定制度取得のプロセス

DX認定制度取得のプロセスは、大きく2つに分けられます。

社内における準備事項

まずは、企業経営の方向性やITの活用方法の方向性などの経営ビジョンを策定します。

経営ビジョンを策定した後、取締役会の承認を得て公表しなければなりません。

企業として方向性を決めるだけでなく、コーポレートサイトなど誰が確認しても分かるように公表する必要があります。

経営ビジョンを実現するためのDX戦略として、体制・組織案とITシステムの整備に向けた戦略を検討し、DX戦略を決定しましょう。

こちらも同じく取締役会の承認を得てから公表します。

具体的な指標や、DXの進捗状況を管理するための仕組みを検討し、DX戦略推進管理体制を策定しましょう。

決定事項の内容を申請書に落とし込み、添付書類を準備します。

DX認定制度の申請方法

情報処理推進機構(以下、IPA)が「DX認定制度事務局」として、各種問合せや認定審査事務などを担当しています。

IPAは2020年11月9日、Web申請システム「DX推進ポータル」上でのDX認定制度の申請受付を開始しました。

必要な認定申請書一式(申請書と申請チェックシート)をDX推進ポータルから提出しましょう。

その後、「認定通知メール」が届くと認定が完了します。

補足資料が必要な項目もあるので、 申請のガイダンス に従い必要に応じて準備してください。

また、DX認定制度事務局は、自社のDXの取組状況を診断できる仕組みや、DXに取り組んでいる他の企業と自社とを比較できる「DX推進指標」のほか、優秀なデジタル活用の実績を積んでいる上場企業を選定する「DX銘柄」といった情報の提供を行なっています。

審査には原則60日(土日祝を含まない)がかかるため、余裕を持って申請するようにしましょう。

申請に必要となる内容

DX認定制度の申請時に記入する各項目は、デジタルガバナンス・コードの項目と対応しています。

DX 認定を受けるための要件を満たすことは、デジタルガバナンスコードの各項目にも即した施策/検討が必要になります。

認定を受けるためのDX推進の例

DX認定を受けたいけど、何をすれば良いか具体的に知りたいという経営者もいるでしょう。

認定を受けるためのDX推進の例をご紹介します。

デジタル技術を活用した新規事業

市場のニーズの移り変わりが早い現代において、新規事業が欠かせません。

なぜなら、どんな商品やサービスも成長期・成熟期を経て衰退していくからです。

現状維持をしようとすると衰退してしまうため、余力のあるうちに新しいビジネスに挑戦し続けることで企業を維持しなければなりません。

また、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革して競争上の優位性を確立するDXは新規事業に欠かせないでしょう。

顧客のニーズに焦点を当て、DXを活用してどんどん新規事業を生み出すことを意識しましょう。

ITツール導入による業務効率化

電子契約システムなどのツールによって、業務の効率化が進み生産性向上に寄与します。

たとえば、以下のような業務はITツールを使って効率化が図れるでしょう。

  • ペーパーレス
  • 電子捺印・電子署名
  • 基幹システムのクラウド化
  • RPAによる定型業務を自動化

業務効率化を進めることで、長時間労働や入力ミスの軽減といったさまざまなメリットが得られます。

また、テレワークやリモートワークがむずかしいとされていたバックオフィス業務もDXによって可能とします。

企業全体の生産性が向上し、企業の利益に貢献するでしょう。

まとめ

DX認定制度とは、DXの優良な取り組みを行う企業やDX推進の準備が整っている企業を認定する制度です。

政府が企業のDXを推進するために設けられました。

IT技術を事業に取り入れることが企業の発展に欠かせないものと考えられており、大手企業を中心に積極的に認定を得るために動いています。

実際、グローバル化がめざましく競争が激しくなってきているなかで生き残るために、DXは経営に欠かせません。

DX関連の新規事業は認定制度を受けられるだけでなく、認定を得るプロセスにおいて企業としての持続的な成長に貢献します。

自社が置かれている状況を把握し、改めて企業の方向性を共有するためにも積極的にDX認定制度を活用しましょう。