API開発とは、ソフトウェア開発で必要な機能をAPIによって補う手法です。
開発コストの軽減やセキュリティを高められるメリットがあります。
本記事では、API開発の概要からメリット・デメリットを解説します。開発方法や利用に役立つ例まで解説しているので、ぜひ参考にしてください。
API開発とは?
API開発とは、API( Application Programming Interface)によって、必要な情報や通信を使ってソフトウェアを開発する仕組みです。
ソフトウェアの性能を最大限まで引き出して価値を生み出すとともに、素早く柔軟にカスタマイズできます。
API連携により外部機能を提供すれば、カスタマイズの自由度が高まることで、コストを抑えて高品質のサービスを実現できるでしょう。
そもそもAPIとは
APIとは、Application Programming Interface(アプリケーション プログラミング インターフェース)の頭文字を取った略称です。
以下の表に、それぞれの言葉の意味を分解した内容をまとめました。
Application(アプリケーション) | 用途に応じて作成するプログラミング |
---|---|
Programming(プログラミング) | プログラムを構築する作業 |
Interface(インターフェース) | 2つのものを「仲介」するもの |
例えば、APIのなかでもRESTの設計原則によって作られたものは、「RESTful API」と呼ばれます。
ここからは、代表的なAPIの種類を以下の3つにわけて紹介します。
- プライベートAPI
- パブリックAPI
- パートナーAPI
プライベートAPI
プライベートAPIは、他社に公開せずに自社内だけで利用するAPIを指します。
一般に公開されることはないため、社内のアカウントにログインして使用するため、APIキーやパスワード管理が必要です。
多くのIT企業で利用される仕組みで、自社サービスの拡張目的で利用されます。
パブリックAPI
パブリックAPIは、一般公開を目的に作られるAPIです。
誰でも自由に利用できるようにオープンソースとして作成されたり、申請が必要だったり、と権限の範囲は開発元によって変化します。
APIを公開する目的の1つが、自社サービスを普及させることです。
公開されたAPIを他社や個人ユーザーが利用して、アプリケーションのカスタマイズに利用します。
パートナーAPI
パートナーAPIは、提供企業がユーザーに対してアクセス権限を開示すると利用できるAPIです。
一般公開されることはないため、独自の機能を利用できるメリットがあります。
しかし、パートナーとしての提携がなければ利用できない点から、ハードルの高さがデメリットになりやすいです。
API開発のメリット
API開発のメリットとして、以下の内容を解説します。
- 開発期間を短縮できる
- コストを削減できる
- セキュリティを向上できる
- UIを向上できる
- 最新情報をキャッチアップできる
開発期間を短縮できる
API開発のメリットの1つが、アプリケーションを構築するために必要な期間を短縮できることです。
API連携により、アプリケーションに組み込めないプログラムを拡張したり、他サービスに流用できます。
サービスの基盤になるようなAPIがあれば、他の開発工数を大きく短縮できるでしょう。
コストを削減できる
API開発は、コストを削減できるメリットもあります。
APIによってサービスに必要な機能を搭載すれば、プログラミングの工数を減らせるためです。
開発期間が短くなることで、エンジニアにかかる人月のコストだけでなく、環境維持費の削減につながります。
セキュリティを向上できる
サービスのセキュリティを向上できる点も、メリットです。
利用時に必要なログイン情報をSNSやGoogleアカウントと紐づけするAPIを活用すれば、第三者の不正アクセスを制限できます。
自社サービスに会員登録機能を作る必要もなくなり、セキュリティを担保した提供が可能になるでしょう。
UXを向上できる
API開発により、サービスのUX改善にも役立ちます。
自社サービスの拡充だけでなく、他サービスとの連携まで視野に入れると、UXの更なる向上を図れるでしょう。
例えば、他の人気アプリと連携させる機能をAPIによって付随すれば、ユーザー体験はより良いものとなるはずです。
API開発では、UXの向上も視野に入れて検討してみてください。
最新情報をキャッチアップできる
API開発により、提供するサービスが時代の流れに取り残されることなく更新できる点もメリットです。
ユーザーニーズに合わせてプログラムを更新してリリースするサイクルは、金銭や時間のコストもかかります。
APIには複数の種類があるため、必要なものを選択して利用できれば最新の情報を取得しやすいです。
満足度向上のために必要なAPIを正しく選択して、利用できれば自社サービスの幅も広がるでしょう。
API開発のデメリット
API開発のデメリットとして、以下の内容を解説します。
- プログラムの知識が必要となる
- 仕様変更や停止に対応が求められる
- 従量課金の仕様に注意が必要となる
プログラムの知識が必要となる
API開発では、プログラムの知識が必要です。
アプリケーション開発の知識とは異なり、認証やエラー対処の知識も求められるでしょう。
例えば、以下の内容は知識がなければ対応が難しくなります。
- リクエストの送信先
- 認証キーの設置場所 など
しかし、APIは開発元から詳しい使用方法が提示されるケースもあります。
そのため、大きなデメリットではないかもしれませんが、知識が必要になる点は意識してみてください。
仕様変更や停止に対応が求められる
APIは提供元の都合によって、仕様変更されたり、提供が停止されたりする可能性があります。
また、仕様変更時に不具合が生じるケースもあるため、サービスに支障が出ないように対処しなければいけません。
Web情で動作するAPIの場合、ネットワーク障害によって使用できなくなる可能性があります。
API開発では、臨時で動作できる環境を事前に整えるといった、リスク管理も必要です。
従量課金の仕様に注意が必要となる
APIの中には、従量課金制の仕様が取られるサービスもあります。
利用回数やデータ量によって金額が自動的に変更されるため、多額の費用を気づかない間に支払うことが無いように事前に確認しましょう。
例えば、以下のAPIには従量課金制で利用するサービスが含まれます。
- Google Map API
- Amazon API など
規定の範囲内であれば無料で利用できることもあるので、データ量に注意を払いましょう。
APIを使った開発方法・手順
APIを使った開発方法は、大まかに以下の手順で進行します。
- 設計
- 開発
- 検証
設計では、APIの仕様を計画します。フローチャートを利用して視覚化する方法が一般的です。
定義段階では、早期に要件を決定してユーザビリティーや信頼性を高められるようにしましょう。
開発段階では、APIの状況に合わせて最適化します。リクエストやリソース使用が膨大になる局面では、並列処理やキャッシュの管理を工夫して対処してください。
セキュリティの脆弱性を意識するときには、ハッキングの糸口となるエラーを減らす対処が必要です。
APIの開発手順では、大まかな流れに追加してテストやプロトタイプ作成が含まれるケースもあります。
プロトタイプ開発やテストを実施すると、APIの用途に必要な機能が新たに見えてくる可能性もあり、改善できればUXの向上につながるでしょう。
API開発の例
API開発の例として、以下の表にまとめました。
APIの名称 | 機能 | 開発例 |
---|---|---|
Google Calendar API | ・日付表示・祝日・休日の設定・色分け設定 など | ・社内用の退勤管理システム・個人のスケジュール管理 など |
Maps JavaScript API | ・位置情報管理・経路案内・マーカー設置 など | ・実店舗の所在地を提示・所在地までの経路を提示 など |
YouTube Data API | ・動画の埋め込み表示・動画再生回数の表示・チャンネル購読の導線作成 など | ・企業紹介動画をWebサイトに掲載・動画投稿の競合調査システム など |
Twitter API | ・ツイートの自動投稿・リアルタイム検索・ツイートの抽出 など | ・Webサイトにユーザーニーズに合わせたツイートを表示・Twitterbotシステム など |
Messaging API | ・メッセージの応答機能・予約投稿 など | ・LINEbot・企業アカウント作成 など |
Amazon API | ・商品情報管理・支払い情報取得・商品表示機能 など | ・ECサイトの作成・企業サイトに商品一覧表示 など |
Chatwork API | ・Google Apps Script連携・コンタクト状態のチャットにアクセス など | ・予約投稿システム・自動送信システム など |
Microsoft Face API | ・顔認識・感情分析 など | ・画像に似た有名人検索アプリ・加工写真撮影アプリ など |
まとめ
本記事では、API開発について解説しました。
APIには様々な種類があり、用途に合わせて利用・開発すれば、サービスの利便性を高められます。
API利用に寄って、開発工数を減らしたり、ユーザーのセキュリティを高めたりできる点がメリットです。
開発例まで確認すれば、API利用によるシステムやサービス構築のヒントも得られるでしょう。
ぜひ本記事を参考に、API開発に取り組んでみてください。