CMSとは「Contents Management System(コンテンツマネジメントシステム)」の略語です。下記のような「Webサイトに必要なデータを一元管理できるシステム」を指します。
- テキスト
- 画像
- デザイン
- レイアウト情報(テンプレート)
CMSを導入すれば、「専門知識を必要としない簡単な編集でサイトを管理」できます。CMSの有無による違いを、分かりやすく表にまとめました。
違い | CMSを導入したサイト | CMSを導入していないサイト |
---|---|---|
サイトの管理方法 | データベースに必要なデータ(テキスト・画像など)を保存して一元管理 | 画像やテキストなどのデータを1ページずつ管理 |
ページの制作方法 | データベースで管理しているテキストや画像をツールが組み合わせてページを自動生成する | HTML・CSSなどのマークアップ言語やJavaScript・PHPなどのプログラミング言語を用いる1ページずつ制作する |
専門知識の有無 | 専門知識がなくてもページを更新・追加しやすい | 専門知識がないと制作・運用は難しい |
専門知識がなくてもサイトを管理できるCMSは、企業に必要不可欠なホームページを運営するために便利なツールです。
しかし、どのCMSを選んでもよいわけではありません。自社にとって快適なWebサイトを運営するために、種類と特徴を把握しましょう。
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目次
CMSの種類
CMSの種類は、下記の4種類です。
種類 | 特徴 |
---|---|
オープンソース型 | 無償で公開されているソースコードを利用するCMS商用・非商用など問わずに導入できるため世界中の企業・個人サイトの運営に利用されているカスタマイズの自由度が高いセキュリティ対策が必要 |
パッケージ型 | 購入したツールを自社サーバーにインストールして利用するCMS法人での運用を想定した豊富な機能を搭載ベンダーが導入・運用をサポートしてくれる初期費用・ライセンス利用料がかかる |
フルスクラッチ型 | 自社のサイト用に独自開発するCMS目的に合う最適な運用ができる開発から運用・保守まで多くの時間と高いコストがかかる |
クラウド型 | ベンダーが管理するサーバー上で利用できるCMS月額または従量課金制でランニングコストが安いメンテナンスやバージョンアップはベンダーが対応してくれる海外で開発されたサービスが多いため日本語でのサポートが受けられない場合がある |
それぞれ詳しく解説します。
オープンソース型
「無償でソースコードが公開されているオープンソース型CMS」は、多くの企業や個人サイトで導入されています。オープンソース型CMSの代表例は「WordPress」です。
カスタマイズの自由度が高く、不明点や課題点を修正しやすい特徴があります。そして、導入・運用コストを抑えられるという点が大きなメリットです。
しかし、利用者の多さから攻撃の標的にされる可能性があるため、セキュリティ面に不安が残ります。最新システムへの更新やパスワード管理など、最低限の対策が必要になるでしょう。
パッケージ型
パッケージ型は、「購入したツールを自社サーバーにインストールして利用するCMS」です。
企業や組織など中規模サイトの運用を想定した機能が豊富に搭載されており、個別にカスタマイズしなくても簡単にサイト構築ができます。
また、「ベンダーからアップグレードや不具合対応などのサポートが受けられる」ため、安心して運用できる点が大きなメリットです。
オープンソース型と違い、初期費用やサイトのボリューム(ページ数・ユーザー数など)に応じて、ライセンス利用料がかかるので注意してください。
ベンダーによって、セキュリティ対策の保険やサポートが充実しているケースもあるので、目的に合ったツールを検討しましょう。
フルスクラッチ型
「自社のWebサイトに最適なCMSをゼロから作るのがフルスクラッチ型」です。オリジナリティが出しやすく、自社ならではの仕様や要素を搭載できます。
しかし、CMSを作るところから始めるため、すぐにWebサイトの構築ができません。CMSの企画から開発まで、膨大な時間が必要です。さらに、開発・保守に高いコストがかかります。
そのため、「できるだけ低コストでWebサイトの構築・運用をしたい」「すぐにWebサイトを作りたい」という企業には向いていません。
フルスクラッチ型を選ぶ際には、社内で必要性をしっかり検討しましょう。
クラウド型
「インターネット経由で誰でも利用できるのがクラウド型CMS」です。
インターネット環境とブラウザさえあれば、別途サーバーの用意やCMSのインストールは必要ありません。
GmailやYahoo!メールなどと同様に、「自社にとって使いやすいサービスを選んで手軽に導入できる」特徴があります。
しかし、提供される機能の範囲内で運用するため、カスタマイズの自由度は低いのがデメリットです。
また、セキュリティ対策のために、「万全なサーバー管理がされているか」「管理画面の安全性は確保されているか」などの確認した上で、サービスを選ぶ必要があります。
CMSを活用するメリット
CMSを活用するメリットは、主に下記の3つが挙げられます。
- プログラミング知識がなくても簡単に編集できる
- スタッフ間で分業して管理できる
- マルチデバイス対応できる
プログラミング知識がなくても簡単に編集できる
CMSは、「プログラミング知識がなくても簡単に編集」できます。プログラミング言語でソースコードを作成するコーディングスキルは必要ありません。
Wordやメールなどが操作できる程度のパソコンスキルさえあれば、基本的なサイトを構築できます。
そのため、高い専門知識を持ったWebデザイナーやエンジニアがいなくても、ホームページを作成できる環境が整えられます。
スタッフ間で分業して管理できる
CMSを導入したWebサイトは、サイトのカテゴリーやデザイン・コンテンツの更新などで担当を振り分けて、部署やスタッフごとに分業できます。
「複数のカテゴリーやページを並行して作業できる」ため、効率的です。
また、担当者がWebサイトの制作から管理までを一貫して作業する必要がない分、1人に対する負担が減りミスの軽減に繋がります。
マルチデバイス対応ができる
CMSを導入すれば、自社のWebサイトをマルチデバイス対応にできます。
マルチデバイス対応とは、「Webサイトの画像やテキストなどを端末に適応したテンプレートに自動変換するシステム」です。
本来なら、デバイスに合わせたコーディングをしなくてはいけません。
しかし、マルチデバイス対応となる「レスポンシブWebデザイン」が導入されたCMSを利用すれば、Webサイトが端末に合わせたレイアウトに自動変換されます。
パソコンやスマートフォン、タブレットなど様々なデバイスからアクセスされるWebサイトは、利便性向上のためにマルチデバイス対応が重要です。
CMS導入時の検討ポイント
CMSを導入する際には、下記のポイントを検討してください。
- Webサイトの目的
- Webサイトの規模
- セキュリティ対策
- 導入コスト
Webサイトの目的
まずは、以下の2点を含んだWebサイトの目的を明確にしましょう。
- サイトの内容(イメージや達成目標など)
- 必要な機能
CMSは種類が多いため、「自社のWebサイトに合うツールの選定が重要」です。そのため、CMSを導入する前にWebサイトの目的を整理して、どのような機能が必要なのかを洗い出してください。
Webサイトの規模
Webサイトの規模によって、選ぶCMSは違いますから、「サイトに盛り込む情報のボリュームはどの程度になるか」を整理してください。
- ページ数
- 図解
- 動画
- 画像挿入
小規模なWebサイトを制作する場合は、データベースが不要なケースもあります。
一方、大規模なサイトを想定するなら、「データ通信料やアクセス数のボリュームに応じた処理性能の高いCMS」が必要です。コンテンツを正しく表示できないと、閲覧者のストレスになり顧客離れにもつながるため、注意してください。
セキュリティ対策
セキュリティ対策を万全にした上で、CMSを導入してください。Webサイトの多くはCMSを導入しているため、必然的に「サイバー攻撃の標的となりやすい」です。
なかでも、企業が管理するWebサイトは顧客情報をはじめとする価値のある情報が多いため、より狙われやすくなります。
CMSでWebサイトを制作したら、セキュリティのアップデートを常に最新にして脆弱性をカバーしましょう。セキュリティリスクをできる限り抑えたい場合には、パッケージ型CMSでベンダーのサポートを受けるのも有効な手段です。
導入コスト
サイトの規模や必要な機能に応じて、導入コストは異なります。検討しているCMSにかかるコストが予算内に収まるかを事前に把握しましょう。
CMSを選ぶ際には「導入コストのみではなく、下記の運用コストも見越して検討」してください。
- 人件費
- ライセンス利用料
- セキュリティ対策費用
- 更新・メンテナンス費用
CMSの運用コストを想定しないと予算がオーバーし、利用の継続が困難になるかもしれません。導入から運用までのトータルコストを算出して、継続できるCMSを選びましょう。
おすすめのCMSを用途別に紹介
おすすめのCMSを2つの用途に分けて紹介します。
- メディア運用でおすすめのCMS
- ECサイトにおすすめのCMS
メディア運用でおすすめのCMS
メディア運用には、下記の機能を搭載しているCMSがおすすめです。
- ライターが記事を執筆できるエディタが搭載されている
- 校正・承認のチェックができるワークフロー機能がある
具体的に、メディア向けCMSを表でわかりやすく紹介します。
ツール | 特徴 |
---|---|
WordPress | 日本で広く普及されている「オープンソース型CMS」必要最小限のシンプルな機能で使いやすい拡張機能(プラグイン)を導入すれば専門的な機能を追加できる |
Ameba Ownd | 無料で始められる「クラウド型CMS」充実したテンプレートで誰でもおしゃれなWebサイトを作れる拡張機能(プラグイン)がなくカスタマイズの幅が狭い |
ablog | ライセンスを購入して利用する「パッケージ型CMS」無料でお試し利用できる国産のメディア向けCMSで日本語でのサポートが受けられる |
メディア向けのCMSは、「個人が作るブログから企業や自治体が運営するサイトまで、規模や体制に対応できる」ツールが多くあります。
それぞれの特徴を比較して自社の目的に合うツールを選べば、快適なサイト運営ができるはずです。
ECサイトにおすすめのCMS
ECサイト向けのCMSには、下記の機能が必要です。
- 各商品ページの更新
- 商品の価格や在庫情報の更新
- 注文対応
- 配送管理
ECサイトに必要な機能を搭載した、おすすめのCMSを紹介します。
ツール | 特徴 |
---|---|
EC‐CUBE | 日本国内で35,000店舗以上の利用がある「オープンソース型CMS」無料・有料を含め拡張機能(プラグイン)が豊富にある国産のCMSで日本語での情報検索や相談がしやすい |
Welcart | WordPressの専用ショッピングカートとして利用できる拡張機能(プラグイン)WordPressの管理画面を拡張してEC運営に必要な機能が使えるSEOとして情報発信しながらECサイトの販売につなげる相乗効果が期待できる |
Magento | ロサンゼルス発の「オープンソース型CMS」ライセンス版の「Adobe Commerce」に移行できるヨーロッパやアメリカを中心に普及しておりグローバル展開を想定したサイト向け「マルチサイト管理」機能を使えば各国のサイト運営も可能 |
EC向けCMSは、ツールが想定する利用方法から大きく外れて運用すると、機能の拡張やアップデートが追い付かなくなる場合があります。そのため、「自社に適した機能が搭載されているツール選びが重要」です。
利用方法と特性をよく把握して、必要な機能が搭載されたツールを検討しましょう。
まとめ
CMSは「専門知識がなくてもWebサイトを運用できる上、制作や管理を分業化できる」ので、部署や担当者の負担を軽減できます。
また、「レスポンシブWebデザイン」が導入されたCMSなら、Webサイトをマルチデバイス対応にできて利便性が向上します。
CMSの導入を検討する際には、Webサイトの目的や規模などを整理して、自社に最適なツールを選んでください。