AndroidアプリはiOSより審査基準が穏やかで、比較的容易にアプリリリースまで漕ぎつけられると言われています。しかし、実際にアプリ開発に着手すると、開発担当者は決めなければならない膨大なタスク量と人的リソースの確保に追われ、業務に忙殺されてしまう傾向があります。

特に、社内でアプリ開発をしたことがないという企業ならなおさらです。そこで本記事では、Androidアプリ開発はどうやって進める?という疑問を軸に、アプリ開発の流れやコストについて解説します。

アプリ開発に関する知識を身に付けたい、スムーズに高品質なAndroidアプリを開発したい、新しいビジネスチャンスを掴んで収益増を見込みたいという人はぜひ参考にしてください。

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Androidアプリとは

Androidアプリ開発について知識を深めるため、まずはAndroidアプリの市場規模や開発の意義について見ていきましょう。

  1. AndroidアプリとiPhoneアプリのシェア比較
  2. Androidアプリで作れるもの
  3. Androidアプリ開発の難易度
  4. iPhoneではなくAndroidアプリを開発する利点

AndroidアプリとiPhoneアプリのシェア比較

まず、AndroidアプリとiPhoneアプリのシェア率について考えてみましょう。まずは、シェア率を推測するために必要なデータとして、以下の表が挙げられます。

2022年6月時点 Android iOS
日本 35.1% 64.8%
グローバル 72.1% 27.2%

参考: https://gs.statcounter.com/

調査年度 Android iOS
2013 41.9% 56%
2014 39.6% 59.7%
2015 45.4% 52.4%
2016 48.7% 50.3%
2017 49.0% 49.5%
2018 48.7% 51.1%
2019 54.6% 44.9%
2020 46.4% 53.4%
2021 49.4% 50.6%
2022 55.7% 44.3%
2023 55.1% 44.7%
2023 (6月最新) 59.5% 39.9%

参考: https://www.kantarworldpanel.com/global/smartphone-os-market-share/

こうしたデータに基づいて、端末の使用率に関する情報からアプリ利用率が端末利用率に比例すると仮定すれば、以下のようなことが言えます。

  1. 日本ではAndroidアプリ利用率はiOSアプリ利用率の約半分
  2. グローバル市場ではAndroidアプリ利用率はiOSアプリ利用率の3倍

つまり、Androidアプリは日本市場ではまだ開拓の余地があります。Androidアプリを開発して日本市場を攻略しながら、世界に向けてAndroidアプリを配信すればさらなる収益が見込めると仮定できます。

なお、機種のシェアは、日本はダントツでApple、次いでSonyになります。しかし、世界市場では2022年にサムスンがAppleを抜いてシェア率1位を獲得しており、日本でもOSにAndroidを用いるGooglePixelの販売台数が伸びています。

つまり、今後もAndroidアプリユーザーは増加傾向にあると考えられるでしょう。Androidアプリ開発に力を入れれば、今までアプローチできていなかったユーザーを取り込むことができるほか、事業拡大による収益増も見込めます。

Androidアプリで作れるもの

Androidアプリには、スマートフォンやタブレットで操作できるさまざまな種類があります。

カテゴリー 説明
ソーシャルメディアアプリ ユーザーとのコミュニケーションと共有
ゲームアプリ エンターテイメントと時間の過ごし方を提供
教育アプリ 学習リソースと教育コンテンツを提供し、知識を拡充
フィットネスアプリ 健康とフィットネスのトラッキング、指導を提供
ショッピングアプリ オンラインで商品を購入または販売
仕事効率化アプリ タスク管理、スケジュール管理、ドキュメント編集などをサポート
ニュース & マガジンアプリ 最新のニュースやトレンドを提供
音楽 & 動画アプリ 音楽や動画のストリーミングサービスを提供
旅行 & 地域情報アプリ 旅行計画、地図、地域情報の提供
ファイナンスアプリ 予算管理、支出トラッキング、オンラインバンキングサービスを提供

具体的には、YouTubeやFacebook、X(旧Twitter)などが挙げられるでしょう。Androidのアプリで作れるものに対し、エンタメか、ビジネスか、などの利用シーンに制限はありません。そのため、ありとあらゆるアプリが作れます。

Androidアプリ開発の難易度

Androidアプリ開発の難易度は、高いと言われています。理由としては、開発環境を整えたのち、複雑な開発言語を使いこなす必要があるからです。昨今、Androidアプリの開発で主流となっているのは、以下の開発言語です。

  1. Java
  2. Kotlin

Javaは言わずと知れた昔からある開発言語で、他の開発言語よりルールが細かくコードの記載も多く複雑であるという難点があります。次に、Kotlinは2017年に新しく追加されたオフィシャル言語です。コードが比較的平易で学びやすいとは言われていますが、これはある程度プログラミングに関する知識を有する人にとっての話です。

また、双方でオブジェクト指向言語について知見がなければ、Androidアプリ開発を一から手がけることは難しいと言わざるを得ません。加えて、開発に必要な機能がそろう「Google公式のAndroid Studio」という統合開発環境(IDE)もありますが、やはりここでもJavaとKotlinの知識が必要となります。

つまり、Java、Kotlinという2つの開発言語が使いこなせないとAndroidアプリの開発難易度は上がってしまうと言えます。

iPhoneではなくAndroidアプリを開発する利点

シェア率の高いiPhoneではなく、Androidアプリの開発に力を入れる利点は以下の3つです。

  1. 伸びしろのあるAndroidアプリ開発市場にいち早く参入できる
  2. 今までリーチできていなかった新規ユーザーにアプローチできる
  3. 提供するサービスによっては海外市場参入のきっかけが掴める

前述のとおり、日本ではAndroidよりも圧倒的にiPhoneが利用されています。しかし、AndroidをOSにするスマートフォンの販売台数が伸びていることから、今後シェア率が拡大しないとも限りません。

より早い段階でAndroidアプリ開発に着手しておけば、競合との市場争いを制する、開発市場におけるイニシアチブが獲得できるといった利点もあります。さらに、今までアプリを使ったことのない新規ユーザーとも接点が持てるため、「サービスを利用したいのにアプリがないためにできなかった」「ブラウザでの利用が不便であった」という純粋なユーザーの不満解消にもなるでしょう。

また、海外で広く利用されているAndriodに対応するアプリがあれば、海外のユーザーとの接点を持つことも可能です。 事業拡大と、ユーザーが抱える不満をアプリによって解消する、顧客満足度を上げるという好循環を生み出すという意味でも、Androidアプリ開発には大きな意義があると言えます。

Androidアプリ開発に必要な言語

Androidアプリ開発に必要な言語はいくつか種類がありますが、ここでは一般に広く用いられる3つの開発言語について紹介します。

  1. Java
  2. Kotlin
  3. Python

Java

Javaは、プログラミング言語の中でも古くから多用されてきました。Javaの魅力は何といっても自由度の高い開発を可能にすることで、多くのプログラマーが支持する理由もここにあります。

また、オブジェクト指向(構築型)であり処理速度も申し分なく、セキュリティ面も確立されていることから開発言語として圧倒的なシェア率を誇ります。他にも、Javaは開発環境と実行環境におけるギャップが少なく、安定的にコードを実行し、Androidアプリの品質を高めユーザーの満足度も向上できます。

ただし、高いプログラミングスキルがなければ扱えないというデメリットも持ち合わせているため、知識とスキルを有するプログラマーの存在が欠かせないでしょう。

Kotlin

また、KotlinもJava同様、オブジェクト指向のプログラミング言語です。Javaの代替として登場し、より簡潔で生産的なコードを書くことができ、すでにJavaによって開発されたプログラムが組み込まれていても、問題なくコードを追加できます。

また、Javaのデメリットでもあった学習難易度も低く設定されているため習得しやすく、より簡単なコードでプログラムを組めることも大きなメリットです。そのため、Javaについて知見を持つプログラマーがいれば、比較的容易に取り入れられるでしょう。

こうした特徴を持つKotlinは、開発速度を高めつつ、工数も減らせるため社内リソースを最適配分できるといったメリットからも注目されています。

Python

Pythonは、AIや自動化に強みを発揮する開発言語の一つで、誰でも簡単にコードが書けるとして注目されている開発言語です。Androidの公式や、Googleから推奨されていませんが、KivyやBeeWareなどのフレームワークを利用してAndroidアプリを開発できます。

Pythonで開発するアプリは、単純なタスク処理はスピーディーに、作業効率において改善すべきポイントとはじっくり向き合ってくれるのが特徴です。また、機械学習のフレームワークが豊富であるため、JavaやKotlinと並行し、Pythonに関する知識も持っていて損はありません。

しかし、繰り返しとなりますが、PythonはネイティブのAndroid開発環境ではサポートされていないため、JavaやKotlinの利用が一般的です。ケースバイケースで使い分ける際に、Pythonも選択肢として入るということは覚えておきましょう。

Androidアプリの開発の流れ

Androidアプリ開発については、企画から設計、リリース後の運用について以下のステップにまとめられます。

  1. アプリ企画
  2. 要件定義
  3. アプリ設計
  4. 開発
  5. テスト・点検
  6. Googleの審査
  7. リリース
  8. 運用・メンテナンス

必要な工程が分かることで、Androidアプリ開発において自社に足りない知識やプログラマーのスキルが明確になります。 また、無駄な工程を省くことによって結果的に、必要最小限のコストでの開発も可能です。

アプリ企画

Androidアプリ開発は、アプリの企画から始まります。具体的には、Androidアプリによって実現したい未来を、以下のユーザー視点に立って考えます。

  1. アプリユーザーが抱える不満を洗い出す
  2. 自社が提供・具現化できるアプリの機能を整理する

また、社内でアプリ開発の稟議を通すためには、以下のような情報も整理しておくと便利です。

  1. Androidアプリ開発に必要なコスト
  2. アプリ開発が目指すゴールの設定
  3. 競合となる企業やサービスについての調査

事前に情報をまとめることは、次のステップにおける要件定義においても役立ちます。

要件定義

アプリ開発における目的が定まれば、次は要件定義です。要件定義とは、Androidアプリが持つ機能を詳細に決め、実現するために必要なプログラミングの構成を決めていく作業のことです。一例ですが、以下の項目を決めていくことになるでしょう。

  1. 目的と目標
  2. ターゲットユーザー
  3. 主要機能
  4. UI/UXのデザイン要件
  5. パフォーマンス要件
  6. セキュリティ要件
  7. データ管理とストレージ
  8. ネットワーク通信要件
  9. サードパーティサービスとAPIの統合
  10. テスト要件
  11. デプロイ要件
  12. 予算とタイムライン
  13. メンテナンスとサポート要件
  14. 法律と規制への準拠
  15. 互換性とデバイスのサポート
  16. アクセシビリティ要件

Androidアプリをより使いやすく有用なものにするには、プログラミングによってさまざまな機能が付与されなければなりません。しかし、ありとあらゆる機能をセットしたとしても、アプリ開発の目的・趣旨と合わなければそれらは無駄になってしまいます。

要件定義は、予算や人的コストとの兼ね合い、開発目的と照らし合わせながら必要な要件を順序だてて整理する方法として有効です。

アプリ設計

アプリ企画と要件定義が決まれば、いよいよアプリ設計の段階に入ります。ここでは、開発するポイントによって以下の2つに分けられます。

  1. 外部設計
  2. 内部設計

開発コストや期間との兼ね合いを意識して、設計内容を調整できるとベストです。

外部設計

外部設計とは、Androidアプリの基本的な仕様や設計を決めるものです。アプリの開発環境や、アプリの見た目そのものを決めるのも外部設計の段階で行います。

特に、Androidアプリの顔となるユーザーインターフェースは、アプリの使い勝手を左右する大きな要素です。ユーザー視点で使いやすいアプリを設計すれば、アプリのヘビーユーザーは増え、より多くのユーザーに愛用されることで、アプリの収益性は高まります。

内部設計

内部設計とは、Androidアプリの目に見えない部分の設計を決める部分と考えましょう。例えば、機能間のデータ共有やプログラミングを最小限の労力を使った作業で進められるよう設計するのが内部設計の役割です。

アプリ開発はこだわるほど凝った仕様やプログラムを選びがちですが、実際は開発後のアプリ運用時の手間をどれだけ省くかにかかっています。そのため、シンプルなプログラムを意識した方が収益性も維持できると考えてください。

開発

細かな仕様が決まれば、次は実際に手を動かしてアプリの開発に移ります。アプリ開発は、複雑な仕様にこだわるというよりは開発後の運用がいかにスムーズに進められるかを重視して進めていきましょう。

こだわるあまり、つい複雑なプログラムや難しい開発言語を使いたくなりますが、アプリは開発後に運用しなければならないためシンプルに作り込むのがベストです。この場合、何かしらのバグが発生した際も改修にかかる時間も大幅に削減できます。

加えて、アプリ開発を外注する場合も、意識してシンプルに開発が進められているかを確認しましょう。

テスト・点検

アプリ開発は作って終わりではなく、テスト・点検も必ずセットで行います。例えば、以下のテストが必要に応じて実行されるでしょう。なお、アジャイルやウォーターフォール等の開発手法によって、必要に応じたタイミングで実行されるテストもあります。

テスト/点検の種類 説明
単体テスト (Unit Testing) 個々のコンポーネントや関数が正しく動作するかを確認
統合テスト (Integration Testing) 複数のコンポーネントが連携して正しく動作するかを確認
システムテスト (System Testing) アプリケーション全体が要件を満たしていることを確認
受け入れテスト (Acceptance Testing) アプリがエンドユーザーの要件と期待を満たしていることを確認
パフォーマンステスト アプリのレスポンスタイムやスケーラビリティを評価
ストレステスト (Stress Testing) 高負荷状態でのアプリの安定性をテスト
使いやすさテスト (Usability Testing) UIとUXがユーザーフレンドリーであることを確認
互換性テスト (Compatibility Testing) 異なるデバイスやOSバージョンでの動作を確認
セキュリティテスト (Security Testing) アプリのセキュリティ機能とデータ保護を確認
回帰テスト (Regression Testing) 新しいコードの変更が既存の機能に影響を与えないことを確認

Androidのアプリ開発では、開発環境と実際の操作環境には多少なりとも違いがあるため、リリース後のバグについてもある程度の対応は覚悟しておかなければなりません。そのため、通常のテストや点検ができつつ、作業のできるエンジニアがいれば重宝するでしょう。

Googleの審査

開発したAndroidアプリは、Googleによる審査を経て正式に世の中にリリースされます。審査基準としてはアプリの概要や機能について見ているものがほとんどで、具体的には以下のような項目がチェックされています。

  1. GooglePlayのコンテンツ定義に違反がないか
  2. 知的所有権を侵害していないか
  3. 安定的な機能性が保たれているか
  4. 事実誤認や虚偽がないか

Googleの審査基準を理解しておけば、品質が高く運用コストのかかりにくいAndroidアプリが完成します。

Googleの審査期間

一般的に、GoogleにAndroidアプリ審査を申し込んだ場合、審査期間は最大で7日間です。ただし例外としてアプリに不備が見つかったり、審査項目に抵触する部分がある場合、審査は遅れる傾向にあります。

そのため、テンポ良くアプリをリリースするならGoogleの審査基準を念頭に置いたスケジュールを決めておくと良いでしょう。

リリース

Androidアプリのリリースは、App Store Connectに必要な情報を入力するだけで簡単にできます。一般的に、iOSよりAndroidの審査基準は緩やかに設定されており、審査の実態が見えないことから審査そのものがされていないという声も上がっているほどです。

つまり、Androidアプリのリリースはよほどの問題がない限りスムーズにいくと考えてかまいません。ただし、先述したように不測の事態に備えて、一定のスケジュールを確保しておくことが大切です。

運用・メンテナンス

開発後に適切な運用・メンテンナンスを行うことで、Androidアプリをさらにユーザーから支持されるものへと育てていきましょう。Androidのアプリは、開発環境に細心の注意を払ったとしても、実際の動作環境でバグが起こり得ます。

確かに、バグは出現しないに越したことはありませんが、トラブルへの迅速な対応が求められます。そのため、アプリ開発のために立ち上げるプロジェクトチームには、運用保守について知識と経験を有する人材を組み込みましょう。

開発したAndroidアプリの収益化

収益化は、ほとんどのAndroidアプリが目指すべきゴールの一つです。開発コストや運営費をまかなうため、具体的にどういった収益が見込めるかについて知っておきましょう。

  1. アプリの有料化
  2. アプリ内広告
  3. アプリ内課金

アプリの有料化

開発したAndroidアプリそのものに価値があれば、有料化によって収益を得ることが可能です。収益を最大化させるには、Androidアプリがユーザーにとって魅力的なものになる必要があります。

「ユーザーにとって利益ある情報やコンテンツを配信している」ことはもちろん、「アプリを使っていることにステータスが感じられる」といった、ある種のブランディングが成功すれば、アプリの価値はどんどん上がっていくでしょう。

Androidアプリは、グロースした際に単価も上げやすくなるため、単なる有料化に留めておくのは損をしてしまうかもしれません。そのため、先を見越した金額設定とスケジュールを決めておきましょう。

アプリ内広告

アプリ内の広告も、Androidアプリの収益化に貢献する手段の一つです。例えば、各ページのいたるところに広告を表示させて収益を得るほか、広告の表示を消すために有料会員になるという方法でも収益が得られます。

アプリ内広告の実装は非常に便利な収益化の方法として挙げられるものの、過度の広告はユーザーにとって煩わしいものとなり、アプリの評価や再利用率を低下させる可能性があります。また、ユーザーが有料会員に登録する価値を感じるためには、アプリに十分な価値を提供する必要もあるでしょう。

こうした傾向から、マネタイズによる収益はさほど大きなものとはなりませんが、従来の広告と同じように考えるのは辞めた方が良いでしょう。

アプリ内課金

Androidアプリの中で、ゲーム系のアプリに多いのがアプリ内課金です。基本的な操作は無料でできるようにし、より幅広いユーザーの獲得を目指す一方で、必要な機能の装備や拡充に課金を促す収益化の方法です。

いずれの方法にしても、アプリの収益化はユーザーにとってアプリが日常の一部となるような中毒性をはらんでいることが重要になるでしょう。ユーザーにとって何の魅力もないアプリはダウンロードする意味がなく、課金に至る要素にも繋がりません。

そのため、開発担当者の独りよがりな機能設定ではなく、あくまでターゲットとするユーザーにとって意義のあるものにする必要があります。アプリ内課金を実装する際には、客観性を重視した開発を心がけましょう。

Androidアプリの開発にかかる費用

Androidアプリ開発には、当然ながらある程度の費用がかかります。より高品質でリーズナブルにアプリ開発を進めるなら、何にどの程度のお金がかかるかは知っておく必要があります。

ここからは、Androidアプリの開発にかかる費用の構成とその内訳を見ていきましょう。

  1. AndroidアプリとiPhoneアプリ(IOS)の費用比較
  2. Androidアプリの維持費用
  3. Google手数料

AndroidアプリとiPhoneアプリ(IOS)の費用比較

Androidアプリ開発費は、人件費によって大きく左右されますが、およそ100万円から規模によって上限なく高まるものです。例えば、Aglowidの調査では、以下が目安とされています。

OS ドル単価 日本円
iPhone $7,500 約112万3,932円
Android $9,000 約134万8,719円

※2023年10月時点の為替(約149.86 円)

他にも、Bytes Technolabでは、以下の金額が提示されています。

OS ドル単価 日本円
iPhone $30,000〜 約449万5,729円〜
Android $20,000〜 約299万7,153円〜

※2023年10月時点の為替(約149.86 円)

AndroidアプリとiPhoneアプリに、どのような機能を実装させるかに依拠すると考えがちですが、大事なのはどのレベルのプログラマーをどのくらいの期間使ったかで費用は決まります。

アプリ開発プロジェクトのコスト計算において、1人の開発者が1か月に費やす時間を表す単位である人月が目安としてよく利用されます。例えば、3人の開発者が6か月間働く場合、3×6で18人月です。1名あたり50万円の費用がかかる場合、18×50万円となり、開発には900万円が必要です。

そのため、Androidアプリだから、iPhoneアプリ(iOS)だからといって開発費用に大きな差は出ません。さらに、開発に必要なシステムはすべて無料公開されており、プログラミングにおける難易度もほぼ同じです。

つまり、スキルがほぼ同等のプログラマーであれば、どちらのアプリ開発にあたっても、よっぽどのことがない限りコストに差はつかないということです。

参考:

https://aglowiditsolutions.com/blog/ios-vs-android/

https://www.bytestechnolab.com/blog/an-absolute-roadmap-to-decide-the-cost-of-android-app-vs-ios-app/

Androidアプリの維持費用

ただし、Androidアプリは、維持費がかからないという点でiPhoneアプリ(iOS)を圧倒するメリットがあります。まず、Androidアプリはリリース時に登録料として$25(日本円にして約3,700円※2023年10月現在)かかるものの、以降の維持費用は一切かかりません。

これに対してiPhoneアプリ(IOS)は、維持費として年間$100(約1万4,000円※2023年10月現在)を支払う必要があります。このように、維持費がかからないという点において、AndroidアプリはiPhoneアプリに勝ります。

Google手数料

加えて、Androidアプリには、Googleサービス手数料というものがあります。デベロッパーがアプリ内でデジタルコンテンツを販売した場合、15%の手数料が発生します。

ただし、収益が年間$00万に満たない場合に限られ、超えてしまう場合は30%の手数料です。

参考: https://support.google.com/googleplay/android-developer/answer/10632485?hl=ja

Androidアプリの開発期間

Androidアプリの開発期間は、およそ数か月〜半年、長くとも1年と言われています。もちろんプロジェクトやアプリにどういった機能を持たせるかによっても変わりますが、検索アプリやショッピングアプリであれば半年以内に完成するものと考えて良いでしょう。

逆に、位置情報や通話機能を有するアプリや、ゲーミングアプリについては複雑なプログラムを組む必要があるため開発期間も長くなり、1年以上かかることもあります。

Androidアプリ外注・自作のメリット・デメリット

最後に、Androidアプリを外注・自作する際のメリットとデメリットについて考えます。外注、自作のそれぞれで長所と短所があるため、プロジェクト推進においてどちらの方法を取るかはしっかり吟味しなければなりません。

Androidアプリをどういった目的で開発するのか、求める利益や収益の規模をしっかりと確認しましょう。

  1. 外注するメリット・デメリット
  2. 内製するメリット・デメリット

外注するメリット・デメリット

アプリ開発を外注するメリットは、品質の向上とスピーディーな開発にあります。Androidアプリ開発には要件定義から仕様、設計ととにかくたくさんの決めごとがあり、作業タスクは膨大な量です。

アプリ開発において十分な知識や経験のない社内チームだけで開発に臨むと、予算や納期の兼ね合いで品質を妥協しなければならない、開発スピードが落ちるといった一定のリスクがあります。

この点、外注はアプリ開発において十分な知識と経験を有しており、設定された開発目標期間内に高いクオリティのAndroidアプリを完成させてくれます。「この仕様で本当にユーザーが満足するのか」「アプリの存在価値が高められているか」など客観的な第三者視点でAndroidアプリの完成度を高めてくれるでしょう。

内製するメリット・デメリット

Androidアプリ開発を、内製するメリットは自社にアプリ開発のノウハウやナレッジが蓄積し、社内人材を育成できるという点にあります。アプリ開発は企画担当からWebデザイナー、実際に手を動かすエンジニアまでありとあらゆる人の手を介して進められていきます。

こうした開発をすべて自社で請け負うことができたなら、企業・人材の双方は大きく成長するでしょう。さらに、自社の成功体験をもとに、他社のアプリ開発を仕事として請け負うといった新しいビジネスの展開も考えられます。

ただし、自社だけでAndroidアプリを内製するということは膨大な量のタスクを一手に引き受けるということです。知識や経験に乏しい企業であれば、想定よりも大幅に時間がかかってしまうリスクには注意してください。

まとめ

Androidアプリ開発にはさまざまなタスクがあり、開発コストや事業費との調整といったやることは山積みです。特に、予算や開発期間といった守らなければならない制約と、アプリケーションのクオリティをどのあたりで折り合いをつけるかについては開発担当者の頭を悩ませてしまうでしょう。

Androidアプリ開発は、外注によって一定の品質を保ちながら最短で完成させられます。自社でナレッジを貯めたいという考えもわかりますが、まずは他者の力を借りながらAndroidアプリ開発という成功事例を収めましょう。