社内外で求められるアプリ開発のプロジェクトでは、開発パートナーとのコミュニケーションのミスや誤解を避け、プロジェクトを予算と期間内に完了する必要があります。

そのため、企画から運用に至るまで、限られた企業や個人の資源(時間、金銭、労力)を最大限に活用し、時間とリソースを無駄にしない進め方を知っておくことが大切です。

そこで本記事では、時間とリソースを無駄にしない『7つの具体的なアプリ開発の流れ』を詳しく解説します。アプリ開発を効率化し、プロジェクトを期間内に完了させるための参考にしてください。

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アプリ開発とは?基礎知識と種類・手法

まずは、アプリ開発の流れを知る前に、下記の3つに分けて事前に知っておきたい基礎知識を紹介します。

  1. アプリの種類
  2. アプリにより環境と言語が違う
  3. アプリ開発の手法

アプリの種類

アプリの種類には、下記に挙げた3つの種類があります。

  1. Webアプリ
  2. ネイティブアプリ
  3. ハイブリッドアプリ

Webアプリ

Webアプリとは、インターネット上で動作するアプリのことです。

ユーザーは、Google ChromeやBing、SafariなどのWebブラウザからアクセスできるため、ダウンロードやインストールの必要がありません。そのため、パソコンやスマホなどのデバイスやOSに依存せずにだれでも利用できます。

Webアプリは、開発や利用のハードルが低いことでプロジェクトに採用しやすいアプリの種類です。

参考: TIOBE Index for September 2023

ネイティブアプリ

ネイティブアプリとは、特定のデバイスやOSに最適化されたアプリのことです。

ネイティブアプリを利用するユーザーは、App StoreやGoogle Playなどのアプリストアからデバイスにインストールして利用します。

そのため、専用のアプリとしての高いパフォーマンスや機能性を実現でき、一定の機能であればオフラインでも利用できるメリットとして挙げられるでしょう。

ネイティブアプリは、デバイス・OSにあわせてユーザーの要望に応えやすいアプリの種類といえます。

ハイブリッドアプリ

ハイブリッドアプリとは、ここまでに紹介したWebアプリとネイティブアプリの良い要素を組み合わせたアプリのことです。iOSやAndroid、MacやWindowsなどの複数のデバイスやOSで動作するマルチプラットフォームという特徴を持ちます。

開発には、1つのコードで複数のデバイスやOSを動作させるクロスプラットフォームというプログラムが用いられます。これにより、それぞれのデバイスに対応したアプリを作る必要がなくなり、開発コスト・リソースの削減が可能です。

ハイブリッドアプリは、Webアプリや ネイティブアプリ のどちらにも当てはまるプロジェクトに向いているアプリの種類と言えるでしょう。

アプリにより環境と言語が違う

次に、デバイスやOSによってアプリ開発の流れで意識したいポイントが異なるため、下記に挙げた代表的な4つの開発を例に解説します。

  1. Androidアプリ開発
  2. iOSアプリ開発
  3. Webアプリ開発
  4. Windowsアプリ開発

Androidアプリ開発

Androidアプリ開発では、Android OSを搭載したデバイス向けのアプリを作成します。そのため、Google Play Storeにアプリを公開する流れとなります。

開発言語は主にJava、Kotlinが採用されることが多いです。また、開発環境はAndroid Studioが公式の開発環境として挙げられます。

iPhoneと比べて、Androidのデバイスは大きさや動作が多種多様なため、主要なものに対応させる範囲を決めておきます。また、それぞれのデバイスでうまく動くようにテストを実施する必要があるでしょう。

参考: グーグル、Android公式IDE「Android Studio 1.0」を公開

iOSアプリ開発

iOSアプリ開発では、AppleのiOSデバイス(iPhone、iPad)向けのアプリを作成します。

App Storeでの公開が主となり、開発言語にはObjective-C、Swiftなどが用いられるのが一般的です。また、iOSアプリ開発の環境にはAppleの公式で公開されているXcodeが挙げられます。

iOSアプリ開発では、Appleの厳しい審査を通過する必要があるため、審査基準をしっかりと理解して問題が起きないよう準備を行う必要があります。

また、一言にiPhoneとまとめてもデバイスサイズは異なります。そのため、一定の範囲に決めて動作を確認しておくと開発の流れがスムーズになりやすいです。

参考: Xcode 15

Webアプリ開発

Webアプリ開発では、先述したようにOSやデバイスの制限が少ないインターネットブラウザ上で動作するアプリを作ります。

開発言語は、HTML、CSS、JavaScriptが採用されます。また、サーバーサイド(いわゆる内側)ではPython、Ruby、PHP、Node.jsなどが用いられるでしょう。

さらに、Webアプリ開発の開発環境は公式で指定されるものがなく、Visual Studio Code、Atomなどのテキストエディタを使います。

Webアプリ開発は、さまざまなデバイス・ブラウザに対応させる必要があり、それぞれで動作確認が必要です。

また、適切に表示できるようにデザインを調整したり、アクセスが増えた際の対策を考えたりしておくことも流れのスケジュールを組み立てる際に役立ちます。

参考: Visual Studio CodeがJava IDEの能力を強化

Windowsアプリ開発

Windowsアプリ開発では、MicrosoftのWindows OS向けのデスクトップアプリを作成します。開発言語は、C#、VB.NETなどが用いられ、Webアプリ開発と同様にテキストエディタが多く使われているのも特徴です。

Windowsアプリ開発では、Windowsのバージョンによって動作も異なる可能性があるため、適切な環境での動作確認が大切です。また、大量のデータや連続動作を実施した際に、負荷がかかって動作緩慢とならないかも確認しておくと良いでしょう。

アプリ開発の手法

最後に、Webアプリ・ネイティブアプリ・ハイブリッドアプリなどの開発における代表的な手法を、下記の2種類に分けて解説します。

  1. ウォーターフォール開発
  2. アジャイル開発

ウォーターフォール開発

ウォーターフォール開発とは、アプリ開発に必要な工程を滝の流れのように上から順番に進める方法のことです。おおまかには、下記のプロセスに分けられます。そして、各段階が完了するまで次のプロセスに進まないことが特徴です。

  1. 要件定義
  2. 外部設計
  3. 内部設計
  4. 実装
  5. テスト(単体・複合・運用)
  6. リリース

ウォーターフォール開発のメリットは、決められた流れで進めるため計画性が高く、品質やスケジュールも管理しやすいことです。

アジャイル開発

アジャイル開発とは、アプリ開発に必要なプロセスを下記の短いサイクルに分けて繰り返す方法のことです。各サイクルはスプリントと呼ばれ、1週間から4週間程度で完了します。

  1. 計画
  2. 開発
  3. リリース
  4. テスト

アジャイル開発では、事前に要件定義で決められたアプリ開発を対象に、優先度の高いものからスプリントを繰り返して開発します。最終的には、開発した各機能を統合して1つのアプリを完成させます。

アプリ開発の7つ手順とスケジュール

アプリ開発の7つの流れとスケジュールは、下記のとおりです。

流れ 説明 開発期間
アプリ企画 アプリ開発の最初のステップ。アプリの目的やターゲットユーザー、機能要件などを明確化する。 約1週間から、プロジェクトの規模に応じて伸びる
要件定義 アプリの機能や仕様、利用環境などを具体的に定義する。 約1週間から1か月
アプリ設計 外部設計と内部設計に分けられる。外部設計では、ユーザーインターフェースや画面遷移などを設計する。内部設計では、データベースやアプリの処理フローなどを設計する。 約2週間から1か月
開発 実際にアプリをプログラミングする段階。要件定義や設計で定めた仕様に基づいて開発を進める。 約1か月から2か月
テスト・点検 開発したアプリをテストし、バグや誤作動を修正する。動作確認やセキュリティチェックなども行う。 約2週間
リリース 開発が完了し、利用者がアプリを利用できる状態になる。アプリストアへの登録やバージョン管理なども行われる。 申請後から約1週間〜許可後
運用・メンテナンス ユーザーサポートやバグ修正、アップデートなど、アプリの運用やメンテナンスを継続的に行う。 継続的

ここからは、それぞれの流れを詳しく解説します。

アプリ企画

アプリ開発の最初のステップは、アプリの目的やターゲットユーザー、機能要件などを明確化し、方向性や仕様を決めるアプリの企画です。企画の期間は約1週間〜となり、プロジェクトの規模や内容に応じて伸びる場合もあります。

企画の時点で目的が曖昧だと、アプリの方向性が定まらず、無駄な機能や仕様を盛り込むことで限られた予算内に収まらなくなる可能性が高まります。

また、ターゲットのズレによってニーズに合わないアプリとなってしまい、プロジェクトそのものに大きな影響を与えることもあるでしょう。

そのため、チーム内で意見を出し合ったり、外部の専門家に相談したりするなどが求められます。

要件定義

次に、アプリ企画で決めた内容をもとに、アプリの機能や仕様、利用環境などを要件定義で具体的にします。要件定義の期間は、おおよそ約1週間から1か月です。

要件定義を行う際には、アプリ企画で決めた内容を踏まえて、「アプリがどのような動作や挙動をするか」「どういったデータや情報を扱うか」「対象の端末やOSは何にするのか」などを詳細に決めます。

企画の内容を基本としない場合、目的やターゲットユーザーのズレが発生し、無駄な機能や仕様を追加してしまう可能性が高まります。開発の途中で発覚した場合、開発に遅れが発生して期間内に間に合わなかったり、コストが予算内に収まらなかったりするためです。

また、要件定義で定めた機能や仕様が現実的に実現可能であるかも、開発パートナーと事前に検討しておくと安心です。

参考: エンジニア type

アプリ設計

そして、要件定義で決めた内容をもとに、アプリの設計を行うのがアプリ設計です。アプリ設計期間は約2週間から1か月程度で、主に「外部設計」と「内部設計」に分けられます。

外部設計

外部設計では、ユーザーインターフェース(UI)と呼ばれる実際に操作する画面や、画面遷移の動作・動線などを設計します。また、ユーザーが直接見て・触れる部分であるため、使いやすさや見た目などに配慮する必要があります。

そのため、ユーザーが「どのような機能を必要としているのか」「どういった使い方をしたいのか(どうなら使いやすいのか)」などまで考える必要があるでしょう。

たとえば、インタビューや競合調査、ワイヤーフレームやモックアップを作成して検証するなどが挙げられます。

内部設計

内部設計では、データベースやアプリの処理フローなどを設計します。要件定義で明確になっている設計や仕様を反映しつつ、データの効率的な管理やセキュリティの確保も実現しましょう。

また、内部設計は使いやすさだけでなく、ユーザーエクスペリエンス(UX)と呼ばれる「商品やサービスで得られる体験」にも影響を与えるため、効率や安全性などに目を向けておきます。

加えて、設計書・ER図・フローチャートを作成して意図や仕様を全体で共有したり、問題がないか話し合ったりするなどで、不必要な仕様変更や抜け漏れも防げます。

開発

内部・外部の設計が完了したら、アプリ開発に着手する流れとなります。

開発は、アプリ設計で決めた内容をもとに、実際にアプリをプログラミングする段階です。開発の期間は、プロジェクトの規模やメンバー数にもよりますが、約1か月から2か月は少なくともかかるでしょう。

開発を依頼する場合、開発中のコミュニケーションが不足すると、認識のズレが発生して遅延や不具合に気づきにくくなります。

同じ認識で開発を進めて、問題点や課題を早期に発見しながら、スケジュール通りに進めるためにも定期的にミーティングや打ち合わせを実施しましょう。

テスト・点検

開発したアプリをテストし、バグや誤作動を修正するのがテスト・点検です。また、動作確認やセキュリティチェックなども対応し、約2週間の期間がかかります。

テストの種類 説明
単体テスト 個々の機能テスト
結合テスト 複数の機能の連携テスト
システムテスト 全体の動作テスト
受入テスト クライアントやユーザーによる最終的な確認

テスト・点検では、項目やスケジュールを共有してもらうことで、どこを見るべきか絞り込めたり、計画的に実施したりできるため、納期遅延を防ぎやすくなります。

リリース

開発が完了し、利用者がアプリを利用できる状態になるのがリリースです。リリースでは、アプリストアへの登録やバージョン管理なども行われ、申請後から約1週間〜許可後までの期間が必要です。

アジャイル開発の場合は、すでに触れられる状態の完成度がリリースまでに完成する(プロトタイプを含む)ことがあり、リリースよりも早く動作等を確認できます。

リリースにおいては、事前にスケジュールを策定しておき、必要な作業を事前に準備しておくとスムーズに進められるでしょう。

運用・メンテナンス

リリース後も、ユーザーサポートやバグ修正、アップデートなど、アプリの運用やメンテナンスを継続的に行うのが運用・メンテナンスです。運用・メンテナンスでは、ユーザーのフィードバックや分析データなどをもとに、アプリの改善や追加機能などを行います。

アプリ開発はリリース後のモニタリングによって、問題点や課題を早期に発見し、素早く対応できる状態を整えられます。また、実行にともなう体制を整えておくと対応の遅れも未然に防げるでしょう。

アプリ開発にかかる日数

アプリ開発にかかる日数は、簡単な検索ツールやショッピングなどのアプリなら、1~3ヶ月ほどです。しかし、ゲームやSNS、通話、位置情報アプリは、最短でも6ヶ月、長くて1年以上かかります。もちろん、アプリ開発にかかる日数はあくまで目安です。そのため、実際の開発期間は、アプリの規模や仕様、品質基準、開発チームのスキルや人数などによって変わります。また、開発中にトラブルが発生した場合は、さらに時間を要するケースもあります。

参考: アプリ開発にかかる期間とは?開発期間延長にならないコツも紹介|エンバーポイント株式会社 (emberpoint.com)

アプリの開発にかかる期間はどれくらい?ジャンルや開発形態別に解説 | 東京のアプリ開発会社 (pentagon.tokyo)

アプリ開発にかかる期間・スケジュールは?作り方をご紹介!【2023年最新版】|PRONIアイミツ (imitsu.jp)

【アプリ開発】個人で開発するために必要な期間について解説! | 侍エンジニアブログ (sejuku.net)

アプリ開発にかかる期間は?流れやスケジュール通り制作するポイント | ノーコードのアプリ開発Saas「Applimo(アプリモ)」

海外:

The average time it takes to build an app is anywhere between 4-6 months

How Long Does It Take to Develop an App for iPhone and Android? (topflightapps.com)

Simple App Development – 2-4 months Average App Development – 4-6 months Complex App Development – starting from 9 months

Find Out How Long Does It Take to Build an App in 2023 (spdload.com)

アプリ開発にかかる費用の目安

アプリ開発にかかる費用の目安は、50〜3,000万円程度です。アプリの種類別に費用の目安をまとめると、下表のとおりとなります。

アプリの種類 費用の目安
業務効率化アプリ 50万円〜
ゲームアプリ 3,000万円〜
マッチングアプリ 220〜650万円
学習アプリ 50~300万円
位置情報アプリ 500~1,000万円

こうしたアプリ開発の費用は、下記の3つで変動します。

  1. 人件費:エンジニアの月収と人数によって決まり、東京都での平均年収は501万円
  2. 開発の期間:短期間で済むシンプルなアプリは1〜3ヶ月、複雑なものは1年以上
  3. 固定費:メイン取得、SSL証明書、サーバー維持費など

また、アプリ開発の費用を抑えるためのポイントとしては、「依頼する工程を明確にする」「複数の会社から見積もりを取る」「アプリの目的を明確にする」などがあります。アプリ開発にかかる費用について詳しくは、下記のページをご覧ください。

【関連記事】 アプリ開発費用はいくら?費用相場や費用を抑えるためのポイント - リレイスブログ - 株式会社リレイス - DXを成功に導く伴走型ITパートナー (relace.co.jp)