もし自分の会社が新規事業にチャレンジしたり、積極的に業務のIT化を進めていたり、ものづくりに力を入れている場合は国の補助金や助成金を活用しない手はないでしょう。
補助金や助成金の給付対象となる企業や事業は、国や自治体(東京都や大阪府、福岡県などのこと)が「応援しなければならない」「力強くなってもらいたい」と考えているものです。
したがって事業者が補助金や助成金を受け取って、製品やサービスを磨いて企業を強くして雇用を増やすことは社会貢献につながるわけです。
そして補助金も助成金も返済が要らない資金です。その金額がそのまま利益を押し上げるので経営を安定させます。
企業の経営者や経理や総務の責任者が補助金と助成金について詳しくなることは経営にプラスになります。ここでの情報は2022年4月現在のものです。
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目次
新規事業の補助金・助成金とは
補助金や助成金はさまざまな産業分野に用意されていますが、この記事では企業や個人事業主などの事業者向け、ビジネス向けのものを紹介します。
国や自治体は、特定の事業に携わっている事業者がある不利な環境下に置かれていたり、育成を必要としていたりしていて、支援をすることが経済や国民生活によい影響をもたらすとき、補助金・助成金という名称のお金を事業者に給付します。
補助金・助成金にはたくさん種類があって、種類ごとに対象事業者や給付額、給付条件などが異なります。新規に事業を立ち上げること以外でも補助金・助成金の対象になることがあります。
補助金・助成金は経済的な救済策支援策なので、経済的に弱い立場に置かれる中小企業、零細事業者、個人事業主などが対象になることが多いのですが、中堅企業や大企業が対象になることもあります。
補助金と助成金の財源は税金です。本来は国や自治体が特定の事業者にお金を渡すことはできません。
したがって補助金・助成金制度の大前提は、企業などを経済的に支援することで経済や国民生活によい影響をもたらすこと、となります。
また、補助金と助成金には次のような違いがあります。
- 補助金は対象事業者数が限られ、審査を行って給付するかどうか決める
- 助成金は条件に合致すれば申請した事業者すべてに給付される
補助金・助成金を活用するメリット
企業などが補助金・助成金を活用するメリットは、1)返済しなくてよい資金が得られることと、2)それ以外の利点にわけることができます。
返済しなくてよい資金が手に入る
補助金・助成金と融資の決定的な違いは、返済の有無です。
補助金・助成金は返済する必要がなく、そのまま収入になります。そしてこの収入を得るにはコストがかからないので、そのまま利益になります。
もちろん補助金を得るには、事業者が自ら補助金の対象となる事業(以下、補助事業)を行う必要があり、その事業を遂行するには材料費などのコストがかかります。補助金はその費用の一部を国などが負担する目的で給付されます。
しかしこのコストは本業のなかで負担するものであり、補助金を受給するためのコストとはいえません。
そして補助金・助成金と融資には共通点もあり、それはどちらも事業者の資金繰りが改善することです。
助成金を受給すると信頼性が増す
補助金・助成金を受けることの副産物的なメリットに、事業者の信用が増す効果があります。
補助金も助成金も頑張る事業者を応援する目的で給付されるので、受給できれば国や自治体から「頑張っているお墨付き」が得られたことになります。
補助金には審査があることは先ほど紹介しましたが、助成金でも受給する資格があるかどうか調べられます。国や自治体は、怪しい事業者やビジネス実態のない事業者に補助金・助成金を給付しません。
補助金・助成金を受給できた事業者は、補助金・助成金の給付に値する事業者といえます。
国や自治体の方針がわかる
これも副産物的なメリットになりますが、補助金・助成金に果敢に挑戦する企業の経営者は、国や自治体の考えを読めるようになります。なぜなら補助金・助成金は国や自治体の政策を反映しているからです。
例えば、新規事業に挑戦する企業に補助金を給付するのは国が企業にもっと新規事業にチャレンジして欲しいからです。ITの導入に積極的な企業に補助金を出すのは、企業にもっと業務のIT化を進めてもらいたいからです。そのほうが企業が強くなって雇用が増え、地域が潤うことで国益を増やします。
補助金・助成金の要綱をよく読むと、国や自治体が何をしたいのかがわかります。しかも国は成長分野を育成しようとするので、その先には大きなビジネスチャンスがあるかもしれません。
新規事業を後押しする補助金・助成金8選
新規事業など企業の取り組みを後押しする補助金・助成金として以下の8つの制度を紹介します。
- 事業再構築補助金
- 事業復活支援金
- IT導入補助金
- ものづくり補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- キャリアアップ助成金
- 東京都中小企業振興公社の補助金
- 新型コロナウイルスに対する助成金制度
1つずつ確認していきます。
事業再構築補助金
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/
事業再構築補助金の目的は、ポストコロナの経済社会(2020年に深刻化したコロナ禍のあとの社会のこと)の変化に対応するために新分野展開や業態転換、事業・業種転換、事業再編などを行う中小企業や中堅企業などを支援して、最終的には日本経済の構造転換を促すことです。
補助金の額は下限額が100万円で上限額は1億円です。補助率は1/3〜3/4です。
給付の条件は、コロナ禍で売上が減っていて、3〜5年の事業計画書を策定し、補助事業を行うことです。
新分野展開や業態転換、事業・業種転換、事業再編などを行うときに、生産施設を改修したり機械を導入したり、クラウドサービスを導入したりした場合、その費用の1/3〜3/4を補助金として給付します。
例えば、補助事業の費用の総額が600万円だった場合、補助率として1/3が採用されると補助金の額は200万円になります。企業は差し引き400万円の負担で600万円分の事業ができます。
事業復活支援金
https://jigyou-fukkatsu.go.jp/
事業復活支援金の目的は、コロナ禍で需要減や供給制約に見舞われて売り上げを大幅に減らした中小企業や個人事業主などを支援することです。
対象となる期間の売上高が30%以上減少していると給付の対象となります。
支援金の額は売上高の減少に応じて増減し、上限額は中小企業が60〜250万円、個人事業主が50万円です。
事業復活支援金は何かの事業をやらなければもらえないタイプの補助金ではありません。
IT導入補助金
IT 導入補助金の目的は、自社の課題解決にマッチしたITツールを導入する中小企業や小規模事業者を支援することです。
補助金の額や補助率は申請するときの枠によって異なりますが、例えば「最大450万円、補助率1/2」「5〜50万円、補助率3/4」「50〜350万円、補助率2/3」といった枠があります。それぞれの枠には条件があり、申請者(事業者)は合致する条件のうちもっとも補助金の額が大きい枠を選ぶことができます。
補助事業は、顧客管理システムや販売支援システムを導入することなどが対象になります。
ものづくり補助金
https://portal.monodukuri-hojo.jp/
ものづくり補助金はものづくり立国ニッポンらしい補助金といえ、その目的は、中小企業や小規模事業者などが今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入)などに対応するため、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資などを支援することです。
補助金の額は750〜3,000万円とかなり高額で、補助率は1/2〜2/3です。
補助金には、上限額が高額になるとハードルが高くなる傾向があり、ものづくり補助金もそれに該当します。
付加価値を年3%以上、給与支給額を年1.5%以上あげる内容を盛り込んだ3〜5年の事業計画を策定しそれを実行しなければなりません。
しかも補助事業の対象となるのは次のような事業でどれも思い立ってすぐに取り組めるものではありません。
- AIやロボットシステムの導入によるプロセス改善
- 複数の店舗や施設にサービスを提供するオペレーションセンターの構築
- 非石油由来の部素材を用いた製品・サービスの開発
- 国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高める
企業の本気度が試される内容といってよいでしょう。
小規模事業者持続化補助金
https://mirasapo-plus.go.jp/subsidy/persistence/
小規模事業者持続化補助金の目的は、小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上の取り組みにおける経費の一部を支援することです。
補助金の上限は50万円、または100万円、または200万円で、枠によって異なります。枠には通常枠、インボイス枠、賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業支援枠があります。
補助率は2/3以内で、赤字事業者は3/4になります。
補助対象となる経費は、「機械装置費」「広報費」「ウェブサイト関連費」「展示会等出展費」「旅費」「開発費」「資料購入費」「雑役務費」「借料」「設備処分費」「委託・外注費」となっていて、幅広く使うことができます。
キャリアアップ助成金
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
キャリアアップ助成金の目的は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用の労働者のキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主を助成することです。
キャリアアップ助成金を獲得するために事業主がすべきことは次のとおりです。
- 有期雇用労働者などを正規雇用労働者に転換、または直接雇用
- 障害のある有期雇用労働者などを正規雇用労働者などに転換
- 有期雇用労働者などの基本給の賃金規定等を改定し2%以上増額
- 有期雇用労働者などと正規雇用労働者との共通の賃金規定などを新たに規定・適用
など
助成金額はキャリアアップの内容によって異なりますが、対象となる労働者1人あたり71,250〜1,320,000円が事業主に支払われます。
こちらは中小企業と大企業が対象になります。
東京都中小企業振興公社の助成金
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/ichiran/index.html
東京都の公益財団法人である東京都中小企業振興公社も助成を行っています。こちらは東京都在住の事業者が対象になります。
同公社の助成制度は多岐にわたりますが、ここでは新製品・新技術開発助成事業と生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業を紹介します。
新製品・新技術開発助成事業
新製品・新技術開発助成事業の目的は、実用化の見込みのある新製品・新技術を自社開発する都内中小企業者などに対し、試作開発における経費の一部を助成することです。
助成額の上限は1,500万円で、原材料や機械装置、外注加工、委託試験の費用、人件費などに対して助成されます。創業予定者も対象になり、補助率は1/2です。
助成対象となる事業は次のとおり。
- 新しい機能を付加した製品や新しい製造技術に関するハード面の研究開発の試作品の設計、製作、試験評価、改良
- システム設計などのソフト面の新たな研究開発でデータ処理装置・情報処理プログラムの開発、改良
- 新たなサービスの提供による生産性の向上、高付加価値化を目的としてサービス関連業が外部の技術を活用して行う研究開発
生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業
生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業の目的は、生産性向上に向けたICT、IoT、AI、ロボットなど、デジタル技術の導入・活用に要する経費の一部の助成です。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を考えている企業に向いています。
補助金の額は30〜300万円で補助率は1/2または2/3。
対象となる経費は次のとおりです。
- 機器・ロボット導入費
- システム構築費
- ソフトウェア導入費
- クラウド利用費
- データ分析費
新型コロナウイルスに対する助成金制度
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
コロナ禍によってダメージを受けた事業者への助成金制度として、雇用調整助成金を紹介します。
雇用調整助成金
雇用調整助成金には一般的なものもありますが、ここでは新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例としての雇用調整助成金を紹介します。
この助成金の目的は、コロナ禍によって事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、労使間の協定に基づき、雇用調整(休業)を実施する事業主に対して休業手当などの一部を助成することです。
事業主が休業させる従業員に休業手当を支払った場合に、事業主に雇用調整助成金を給付する仕組みです。
上限額は、対象となる従業員1人1日当たり9,000円、または15,000円です。
まとめ
補助金・助成金は国や自治体から税金の一部を「いただくもの」ではありますが、事業者はそのお金で企業を強くしてビジネスを拡大すれば地域経済にも日本経済にも貢献できるので、給付を受けることは事業や経営にとって大きなプラスになるはずです。
企業向けの補助金・助成金は種類が多いので、経営者が大きな挑戦をすればそれをサポートしてくれる補助金・助成金がみつかるでしょう。
補助金にも助成金にも「助け」が入っています。新しいチャレンジは、助けを受けると飛躍しやすくなります。どんどん補助金・助成金に応募していきましょう。